尾道・しまなみ海道一人旅(2014年3月21〜23日)

3月21日(金・春分の日
 尾道一人旅。9時過ぎの新幹線に乗るが指定席はなく、自由席。席に座れず、名古屋まで通路にて。品川駅で買った『村上海賊の娘』を読みながら行く。12時50分福山着。腹はすいていたが、昼飯は尾道でラーメンと決めていたので我慢。「生もみじ饅頭」を山陽本線の乗り換えのところで一つ買って空腹を紛らす。14時前に尾道着。にわか雨。駅前には海と向島、振り返れば千光寺と低い山。こぢんまりして美しい。
 早速、駅並びの「尾道ラーメン たに」に。店長風のおばさん、アルバイト風の若い女の子はじめ、皆活気があって愛想がよい。“関西”の親しみやすさを感じる。ラーメンに、ネギをトッピング。それに小ライス。和歌山の中華そばの味に近いが、しょうゆ味を少し強くした感じでうまい、大満足。店から出ると雨はあがり、青空。駅前の「グリーンヒル ホテル尾道」にチェックイン。


 荷物を置いて一服した後、千光寺に。細い石段の道を息を切らせながら上る。本堂から尾道の町と山陽本線、海、向島

 大師堂でお参りしたら冷たい雨、隣りの見晴らしのいい休み場で雨がやむの待つ。雨が止んでから、石畳みをくだる。途中には磨崖仏が。


 志賀直哉の旧居が近くにあるというので向かっていたら、志賀直哉の初版本などを収める茶席風の喫茶店帆雨亭」を見付け、寄る。美味しいコーヒーを飲みながら、店にあった尾道周辺の歴史の図説に目を通す。やはり千光寺のほかに、古刹西国寺、浄土寺はめぐらねばなるまいとの思いを強くする。志賀直哉の旧居の縁側で佇む。直哉の旧居は、奈良の旧居にも行った和の趣が落ち着いていてよく好みである。
 下に降りてきたらもう夕方。夕陽の光で海が輝いていて美しい。夕飯は「花あかり」で、わかめうどんと天ぷら盛り合わせ。関西風のだしのうどんに、わかめはこりこりしていて嬉しい。天ぷらは海の幸と野菜。
 ホテルに戻った後、明日のプランを立てる。西国寺、浄土寺をめぐった後、しまなみ海道に行くこととする。島と島の橋を歩いて渡ることは必ずしたいと思う。宿は三原のビジネスホテルを予約した。

3月22日(土)
 旅2日目。朝は旅先では地元喫茶店でのモーニングがいい。7時過ぎにチェックアウト。コーヒーが本格的でモーニングをしている店を探して歩く。尾道の商店街で「尾道浪漫珈琲 本店」を見付ける。店に入ると食欲をそそられるバターと珈琲の香り。好物のワッフルがメインのワッフルモーニングを注文。ワッフルのほかに、ベーコンエッグ、サラダに、コーヒーは自家焙煎、満足。力をつけて西国寺に向かう。

 寺なので8時過ぎなら大丈夫かと思ったが、お参りはできても宝物館の時間までは久々の寺回りでチェックし忘れていて9時まで1時間待つことに。ところがこの待っている時間がとても気持ちよかった。高いところにある三重塔と本堂の間にある階段のところで、瀬戸内を眺める景色は絶景。ウグイスがしょっちゅう鳴いている。実家の母に、尾道を旅していると電話する。

 寺宝拝観で釈迦如来立像(重文)をみる。鎌倉時代の作らしい端正な姿に玉顔、水晶の白毫。本尊の重文の薬師如来のほか、秘仏如意輪観音は見られず。
 その後、西国寺から町に降りてきたところにある映画資料館に。

 東京物語はじめ、尾道は映画のロケ地としても有名。古きよき、活気あふれる愉しい日本映画の絵看板の広告絵がたくさん飾られており雰囲気もいい。ミニシアターで、尾道は空襲にあっていないことを知る。
 映画資料館から浄土寺に向かう。浄土寺の境内は明るくひらけ、のんびりとしている。寺宝拝観では、よい仏像を見たときの鳥肌が久々にでる。大日如来像2躯に、聖徳太子立像3躯。曼荼羅もなかなかよかった。

 浄土寺前のバス停で、しまなみ海道に渡るバスを待つ。待っている間、地元のおばちゃんと話す。弟さんが因島の土生にいるがもう長いことあっていないという。尾道が空襲にあっていないことをそのおばちゃんからも聞く。おばちゃんは別の行き先のバスに先に乗っていく。僕は、バスに乗り、向島因島生口島大三島まで行くつもり。途中、因島大島の大浜PAで昼飯。橋から見る瀬戸内の美しさに感動。来てよかったと思う。昼飯はおすすめの「鯛のごまだれ丼」。しまなみ海道限定の「しおもち」など、今回の旅の土産をそこで一気に買って、自宅と実家に送る。そこからバスを乗り換えて大三島まで。大三島のバス停を降りると海が目の前の「道の駅多々羅しまなみ公園」。レンタサイクルとか食べるところがあり、サイクリニストたちが多く賑やか。海はこんな感じ。

 大三島では「多々羅温泉」が近くにあるというのを知り、自転車をレンタルして行く。10分ほどで着く。これから大三島生口島の間の多々羅大橋を渡った後、生口島の西半分近くを歩いて「瀬戸田」まで歩く予定だったので、温泉に入りながら足をマッサージ。

 バス停で自転車返却後、地元名物のはっさくのソフトクリームを食べた後、今回の旅のメイン、島歩きに。道の駅から多々羅大橋まで歩いて、スタート。 

 橋の上は気持ちよかった。さすがに欄干近くには怖くて立てなかったが、橋の内側を海風、光の中で気持ちよく歩く。橋は約1.5キロ。橋を渡り終わった後、ペットボトルのお茶を補給して橋から生口島に下る道を行く。レモンが栽培されている。

 島に降りてから、瀬戸田まで向かう予定だが、実は瀬戸田からの交通の当てはおそらく船が出ているはず、というもので頼りないものだった。前日の尾道尾道瀬戸田間の船があるのは確認していたが、時間までは分からなかった。多々羅大橋を降りたのが夕方4時ころ。そこから島を歩いて瀬戸田まで1時間ほど歩いたとしてそこから船があるかどうかは分からなかったが何とかなるだろうと思い、歩く。夕陽がきれいなサンセットビーチも通る。すぐ脇に瀬戸内の輝く海を見ながら黙々と歩く。日はこんなふうに西に。



 サンセットビーチは残念ながら工事中だった。途中、サイクリニストたちのスタンプを押す係りの人たちがいたので、瀬戸田から船はあるか、ある場合、僕が今日泊まる予定の三原まであるかどうか尋ねたところ、「ある」とのこと。17時過ぎ無事到着。足の裏が少し痛いが心地よい。20分ほど後の船を待つ。

 僕が乗った船。

 船は三原まで約30分。ちょうど三原に着く前に、夕陽が沈んだ。

 三原に着くと、意外と肌寒い。18時過ぎだったのでちょうど夕飯。港と、僕の泊まるビジネスホテル「YASSA」のある三原駅は歩いて5分も掛からないほど近い。夕飯は、広島お好み焼き。そこで入った店が「てっちゃん」。ここも元気のいいおばちゃんが店長のようだ。若いアルバイト風の子たちががんばっているのも初日の尾道ラーメンと同じ。てっちゃんモダンを頼む。大変美味い。他にも食べたくなって焼きうどんを頼むが、これはなぜか持ち帰りになった。店が混んでいたためか、そういうルールなのかたまたま勘違いなのか分からないが。まあよいとして宿に向かい、部屋で食べる。
 今日の旅に満足しながら風呂に入って一服、明日の予定を考える。当初、小早川隆家の三原城に行く予定だったが、どうも城はなく城跡だというのでやめる。結局、三原で観光するのはよして、福山に移動して、明王院という古刹に行くことにする。

3月23日(日)
 旅3日目。三原駅でたこせんべいをお土産に買ってから、山陽本線で福山に。尾道の町並みを再び見ながら福山に。朝食は、事前に調べておいた「純喫茶 ルナ」で、トーストとゆでたまごのモーニング。バスで明王院に向かう。福山駅から10分ほどの草戸大橋が最寄りという。草戸は平安期より港町として反映した町で、日本史の教科書にも「草戸千軒町」としても出てくる地。この草戸千軒町は、明王院門前町として繁栄した町だったのだ。
 草戸大橋のバス停から草戸千軒町のあった芦田川を見る。

 バス停から明王院までのんびりと歩く。

 途中にはこんな大きなお地蔵さまも。

 明王院では、寺宝拝観はなくお参りだけして、お寺の奥さんとたくさんしゃべる。観音さまのご接待ということで、お寺のせんべいをいただく。

 福山に戻ってから、駅近く天満屋横の古本屋で本を見た後、天満屋上のレストランで昼飯。そして、新幹線で帰京、18時前に帰宅。一人旅は、今後もしていきたいと強く思った、いい旅だった。