東京国立博物館「国宝 薬師寺展」

 先日、休みをとって「薬師寺展」を見に行く。平日にもかかわらず、入場制限がかかり、1時間半待ちだった。

 今回の展覧会は、仏像好きには物足りなかったというのが正直な感想。

 日光・月光菩薩像の光背がとられ、初めて背中をみることができるのが注目されていたが、結果的には「ただ珍しいだけ」という感じ。
 薬師寺でのえもいわれぬ感動、美しさをなくして、「珍しさ」だけを取り出した印象。寺での安置と博物館での展示の雰囲気の違いはさておき、2つの理由が思い浮かぶ。

①日光・月光菩薩像は光背があることで全体のバランスが生じ、腰のひねりが遠慮がちにみえ、優美さが際立つ。光背がないと、そっけない感じ

②三尊の本尊である薬師如来像が真ん中に鎮座されず両菩薩だけだと、大きさが目立ちすぎ、やっぱりバランスが悪い 

心ひかれた像もあった。慈恩大師坐像である。大師のやや動物的なユーモラスな顔立ちは非常に魅力的であった。

 掛け値なく美しい像、心奪われる像というのは滅多にない。その分、感動も大きいわけだが、ユーモラスで個性的な像との出会いも、仏像鑑賞の楽しみの一つなんだろう。