『ドラッカー 365の金言』

ドラッカー 365の金言

ドラッカー 365の金言

 
 「1、2、3…」の分類、「・〜」の見出しは、個人的に分類し、まとめたものである。

1.組織

人事のための4つの問い(274p)

 第1によくやった仕事は何か、したがって第2によくできそうな仕事は何か、第3に強みを十二分に発揮させるには何を身につけさせなければならないか、第4にその下でわが子を働かせたいかである。
 この人事考課は厳しく人を見る。強みに焦点を合わせる。弱みは、強みを発揮し成果をあげるうえでの制約としてのみ捉える。(『経営者の条件』)

・「真摯さの欠如」だけは、あってはならない絶対の基準(288p)

 弱みそれ自体が大きな意味をもつ領域は一つしかない。真摯さの欠如である。真摯さそれ自体だけではな何ものももたらさない。しかし、それがなければ他のあらゆるものが台無しとなる。真摯さの欠如だけは、あってはならない絶対の基準である。(『経営者の条件』)

・人材の育成(275p)

 人材の育成にあたっては、強みに焦点を合わせなければならない。そのうえで要求を厳しくしなければならない。(『非営利組織の経営』)

・一人ひとりの強みを活かすことによって組織の成果と個の自己実現が両立する(276p)

 知識労働者は、機会、成果、自己実現、価値を必要とする。しかるに、自らが成果をあげることによってのみ、これらを満足させることができる。
 成果を通じてのみ、現代社会は二つのニーズ、すなわち個から貢献を得るという組織のニーズと、自らの目的の達成のための道具として組織を使うという個のニーズを調和させることができる。(『経営者の条件』)

・コミュニケーションによる相乗効果の発揮(283p)

 コミュニケーションとは双方向のものであるがゆえに、ともに働く人たち全員に対し、彼らの強み、仕事のやり方、価値観を明らかにしてくれるよう気軽に頼まなければならない。(『明日を支配するもの』、e-ラーニング教材『自らをマネジメントする』)

知識労働者の生産性向上(157p)

 知識労働の生産性向上の条件は、大きなものだけで6つある。
第1に、なされるべきことを考えることである。
第2に、働く者自身に生産性向上の責任をもたせることである。すなわち、自らをマネジメントさせることである。自律性をもたせることである。
第3に、継続してイノベーションを行わせることである。
第4に、継続して学ばせ、かつ継続して人に教えさせることである。
第5に、知識労働の生産性は、量よりも質の問題であることを認識させることである。
第6に、知識労働者をコストではなく資本財として扱うことである。何にもまして知識労働者自身が、組織のために働くことを欲しなければならない。(『明日を支配するもの』)

・知識組織は学ぶ組織であるとともに教える組織でなければならない(162p)

 今日、知識はいかなる分野においても急速に変化している。そのため、知識労働者は自らの仕事に継続学習を組み込んでおかないかぎり、急速に時代遅れとなっていく。(中略)
 しかも知識の専門家たる者は、同僚が何をしているかを知らなければならない。それぞれが別の専門領域にある。したがって、知識労働者は自らの専門領域について同僚に知らせる責任をもつ。(『明日を支配するもの』、e-ラーニング教材『知識労働者の生産性』)

2.イノベーション、成果

・体系的イノベーション(212p)

 イノベーションのためには、7種類の機会を調べなければならない。
 最初の4つは、組織の内部あるいは産業の内部の機会である。
 第1が予期せぬこと、すなわち予期せぬ成功、予期せぬ失敗、予期せぬ出来事である。
 第2が現実にあるものと、かくあるべきものとのギャップである。
 第3がニーズである。
 第4が産業と市場の構造変化である。
 残りの3つは、組織や産業の外部の機会である。
 第5が人口の変化である。
 第6が認識の変化、すなわちものの見方、感じ方、意味の変化である。
 第7が発明発見による新知識である。
 これらの7つのイノベーションの機会は互いに重複する。角度の違う壁に取りつけられた7つの窓に似ている。窓から見える景色は隣の窓とかなり重なる。だが、部屋の中央から見える7つの景色は異なる。(『イノベーション起業家精神』)

・プロセス上のニーズとイノベーションの条件(216p)

 プロセス上のニーズがイノベーションの機会となるためには、5つの条件を満たさなければならない。第1にプロセス全体が完結したものであること、第2に欠落した部分が一つだけあること、第3に目的とすべきものが明確であること、第4に問題解決に必要なものが明確であること、第5によい方法があるはずであるとの認識が浸透していることである。(『イノベーション起業家精神』、e-ラーニング教材『変化の駆動力』)

・成果をあげるための5つの能力(272p)

 第1に、自分の時間が何にとらわれているかを知ることである。残されたわずかな時間を体系的に管理することである。第2に、外の世界に対する貢献に焦点を合わせることである。第3に、強みを基盤にすることである。自らの強みと人の強みを基盤にすることである。第4に、優れた仕事が際立った成果をあげる領域に力を集中することである。優先順位を守るよう自らを強制することである。第5に、成果をあげるよう意思決定を行うことである。
 これららはつまるところ習慣の問題である。(『経営者の条件』)

3.その他

・新しい任務(175p)

 新しい任務を行ううえで必要なことは、卓越した知識と才能ではない。それは新しい任務が要求するもの、新しい挑戦、仕事、課題において致命的に重要なものへの集中である。(『創世の時』

・リーダーシップ(108p)

 自らへの関心を中心におくリーダーは、誤った方向へ進む。(中略)リーダーシップとは、人のビジョンを高め、成果の水準を高め、人格を高めることである。そのようなリーダーシップの基盤として、行動と責任についての厳格な原則、成果についての高度な基準、人と仕事に対する敬意を日常の実践によって確認していく組織の精神に勝るものはない。(『マネジメント―課題・責任・実践』『非営利組織の経営』)

・プロとしての倫理(131p)

「知りながら害をなすな」との言葉こそ、プロとしての倫理の基本であり、社会的責任の基本である。(『マネジメント―課題・責任・実践』)