この前の土曜日(11月3日)、Tの結婚式に出るため、和歌山に帰った。翌日、帰京時に京都に立ち寄る。
秋の京都の休日は観光客が多い。交通が便利で、どの寺に行くのにも迷わない。着いた先が郊外の寺であっても、至る所に店がある。改めて、高度に観光化された町だと感じた。
京都のお寺を静かに巡りたいなら、観光シーズンをずらすか、平日に休みをとって行くのがよいな。
<神護寺>
京都駅からバスで約50分。停留所からさらに20分、山道を下って上ると、山門にたどり着く。
神護寺の仏像で特に知られるのは、本尊薬師如来像(国宝・平安時代)と五大虚空蔵菩薩像(同)である。このうち、通常観ることができるのは薬師如来像で、五大虚空蔵菩薩像は拝観には事前の予約が必要ときく。
ただ、本尊の薬師如来像も、金堂の内陣の奥に祀られ、ほの暗く、表情までははっきりとは観られない。
山道を戻り、清滝川に沿って歩き、高山寺に向かう。紅葉は三分咲きというところ。途中、自宅の軒先で草餅を売るおばあちゃんと会う。そこでお茶、ちりめんじゃこもいただいて雑談。
<高山寺>
高山寺は観光客が比較的少なく、山の静けさを味わうことができる。鎌倉時代に明恵上人(和歌山県有田郡出身)が復興したお寺である(開創は平安時代)。
明恵上人といえば、樹上坐禅像に描かれた様子がよく知られるが、その樹木の有無は今に伝わっていない。また、明恵上人遺愛の木彫りの犬は、石水院(国宝・鎌倉時代)で観られる。
仏像・彫刻は薬師如来坐像(重文・奈良時代)、明恵上人坐像等が安置されているが通常は拝観できないようだ。上人像は開山堂に安置され、毎年11月8日に開帳されるらしい(『新 全国寺社・仏像ガイド』 美術出版社)。
また、高山寺といえば、鳥羽僧正の「鳥獣戯画」が知られる。こちらも東京・京都のそれぞれの国立博物館に通常は寄託されている。
鳥獣戯画はユーモラスな絵で好みなので、お土産として絵がプリントされた布巾を買って帰る。
<仁和寺>
現在、秋の名宝展として霊宝館が公開中(毎年10月1日から50日間。ちなみに春もあり、4月1日から50日間)。霊宝館には、阿弥陀三尊像(国宝・平安時代)を筆頭に、20躯の仏像・彫刻のほか、絵画、書跡等が展示されている。
吉祥天立像(重文・平安時代)がもっともよかった。ゆったりとした立ち姿に、品にあふれた像。
今度は御室桜の咲くころに来てみたい(人は多いだろうが)。