18時に浅草での打ち合わせを終えてから向かう。
真打昇進襲名披露興行として、21日は木久扇師匠のお弟子さん、
林家きく麿さんがトリ。
鈴本に着いてまず4階のトイレに行き、
寄席のある3階に降りてきたとき、
後ろに人の気配がして振り向くと、
私服姿の古今亭菊之丞師匠。
最近最も注目している噺家で、その日のお目当てだった。
「師匠、今日も楽しみにしています」とあいさつしたら、
「いつもありがとうございます云々」と、さらりと言ってくれた。
三遊亭小円歌姉さんが、名人文楽の「野崎」、志ん生の「一丁入り」を
三味線でひいてくれたのは嬉しかった。
そして、馬風師匠。やっと聴けました。
残念ながら古典は聴けなかったけど、
あの、重みのある雰囲気で、人の心の奥底にある卑猥さみたいなものを、
さらりとユーモラスに仕立てるのはさすが。
それが嫌味じゃないのは「人間」が好きだからなんだろうなァ。
木久扇師匠はきく麿さんの入門当時の話から、
いつのまにか、ものまね。嵐寛寿郎、月形龍之介、片岡千恵蔵、田中角栄など。
五街道雲助師匠も初めて。「ざるや」。
ちょっと声の張り方がぼくには不自然で、
師匠の馬生さんとは雰囲気が全然違うなと感じる。
その日一番うけたのが昭和のいる・こいる師匠。
お二人の微妙なズレがいいんだろうなァ。
いつ聴いても面白い。
そして菊之丞師匠。
「代り目」の途中、おかみさんがおでんを買いに行くまで。
仕方がないが、もっと長く聴きたかった。
正楽師匠の紙切り。
いつもながら鮮やか。なんでもこなす腕。
小惑星探査機「はやぶさ」のカプセルを回収する場面はとくによかった。
トリのきく麿さんのネタは、
「金明竹」の九州弁版の自作かな。
真打昇進襲名披露興行の大初日なのに、酔っ払いの客がいたのは気の毒だった。