9/21 鈴本演芸場

 18時に浅草での打ち合わせを終えてから向かう。
 真打昇進襲名披露興行として、21日は木久扇師匠のお弟子さん、
 林家きく麿さんがトリ。
 
 鈴本に着いてまず4階のトイレに行き、
 寄席のある3階に降りてきたとき、
 後ろに人の気配がして振り向くと、
 私服姿の古今亭菊之丞師匠。
 
 最近最も注目している噺家で、その日のお目当てだった。
 「師匠、今日も楽しみにしています」とあいさつしたら、
 「いつもありがとうございます云々」と、さらりと言ってくれた。

 三遊亭小円歌姉さんが、名人文楽の「野崎」、志ん生の「一丁入り」を
 三味線でひいてくれたのは嬉しかった。

 そして、馬風師匠。やっと聴けました。
 残念ながら古典は聴けなかったけど、
 あの、重みのある雰囲気で、人の心の奥底にある卑猥さみたいなものを、
 さらりとユーモラスに仕立てるのはさすが。
 それが嫌味じゃないのは「人間」が好きだからなんだろうなァ。

 木久扇師匠はきく麿さんの入門当時の話から、
 いつのまにか、ものまね。嵐寛寿郎月形龍之介片岡千恵蔵田中角栄など。
 
 五街道雲助師匠も初めて。「ざるや」。
 ちょっと声の張り方がぼくには不自然で、
 師匠の馬生さんとは雰囲気が全然違うなと感じる。

 その日一番うけたのが昭和のいる・こいる師匠。
 お二人の微妙なズレがいいんだろうなァ。
 いつ聴いても面白い。

 そして菊之丞師匠。
 「代り目」の途中、おかみさんがおでんを買いに行くまで。
 仕方がないが、もっと長く聴きたかった。

 正楽師匠の紙切り
 いつもながら鮮やか。なんでもこなす腕。
 小惑星探査機「はやぶさ」のカプセルを回収する場面はとくによかった。
 
 トリのきく麿さんのネタは、
 「金明竹」の九州弁版の自作かな。
 真打昇進襲名披露興行の大初日なのに、酔っ払いの客がいたのは気の毒だった。