国宝 阿修羅展

 14日(木)、夕方から東京国立博物館「国宝 阿修羅展」に行く。
 阿修羅像、その他の八部衆十大弟子像などを展示。 
 興福寺には、ほかにも山田寺仏頭、天燈鬼・龍燈鬼像、仁王像、
 北円堂の無著・世親像、弥勒如来像、南円堂の不空羂索観音像などがあるが、
 これらの展示はなし。

 展覧会全体に占める仏像の割合は少なめで、仏像ファンには軽めの展示。 
 
 興福寺の仏像を観るなら、興福寺に行ったほうが格段にいい。
 阿修羅など、天平時代の諸像には「静けさ」が似合うから。
 鎌倉時代の仁王像、天燈鬼・龍燈鬼像などは賑やかな展覧会の中でも、
 力強さやコミカルさが発揮されるだろうが、それらは今回はないし…。
  
 以下、簡単に感想を。
 
 ふわっとした、それでいて迫ってくるような視線の阿修羅。
 斜向かいからの表情がこのうえなく優しい須菩提
 体躯がなく、肩から頭部のみでありながら、存在感は諸像以上の五部浄。

 八部衆にしろ、十大弟子にしろ、「表情」が像全体の印象を決定づけている。
 それだけに、興福寺の国宝館のように、もっと低い位置で展示してほしい。
 照明も明るすぎないか。
 多くの人が観ることを前提にしているので、やむを得ないのだろうが、
 その意味ではこれらの像は展覧会向きではないと思う。


 「華原磬」(かげんけい)という法具も印象に残る。
 http://www.kohfukuji.com/property/cultural/061.html

 台座の獅子は、ぐっとにらんだ目に引き締まった体躯。
 簡素さが魅力的である。
 そのうえの六角の芯柱に雌雄の龍が巻きつき、
 胴の部分に「金鼓(こんく)」を抱える。
 高度な彫刻技術で、全体の印象はシンプルに。
 名品と感じる。