ドラマ「風のガーデン」

http://www.fujitv.co.jp/garden/index.html

 緒方拳の遺作ということで「見とかなきゃ」という感じで見始めたのだが、そんな義務感はすぐさま吹っ飛んで、次回の放送が楽しみでならなかった。
 毎回、かみさんともども、放映前にはお好みの飲み物を用意してテレビの前で居住まいを正し、始まるのを待った。18日の最終回は仕事で見られず、録画。同じころ、かみさんがインフルエンザにかかりしばらく見られず、元気になった先日ようやく一緒に見終えた。

 ドラマの序盤(東京)では、大病院で働く優秀な麻酔医の主人公白鳥貞美(中井貴一)が、末期がんに突然見舞われながら、それを露とも見せず仕事をする強い気持ちに魅せられた。主人公よりも病状の悪い患者(奥田瑛二)とその娘(国仲涼子)とのやりとりで心をひらくさまは、弱さではなく自然で美しくさえあった。そして、病状の悪化により辞職する際の真摯さ。
 中盤から終盤(富良野:キャンピングカーの中での生活)では、学生時代の友人たちとのつながり、風のガーデンの非日常的なまでの美しさ。主人公の娘ルイ(黒木メイサ)と弟の岳(神木隆之介)の純粋さ。静かな富良野の中でのルイの鮮烈な美しさも際立っていた。そして、主人公の父白鳥貞三を演じる緒方拳の存在感。セリフは言葉を伝えるのではなく、心を伝えるもの。緒方さん自身が実生活で末期がんに侵されていることがどうしても心から離れない。
 最後(富良野:実家)は、貞三の家族としての思い、中井貴一の演技の素晴らしさ。脇役の石田エリ、新人の平野勇樹もよかった。