『阿片王 満州の夜と霧』佐野眞一著

阿片王 満州の夜と霧

阿片王 満州の夜と霧

 満州帝国を闇で支配した里見甫の生涯を描くノンフィクション。里見をめぐるさまざま、文字どおりさまざまな人間の生き様、欲望を描く。
 百人を超える人への取材、膨大な史料・書籍を基に、里見と里見をめぐる人間、時代を、息吹が感じられる生きた言葉で描いていく。ノンフィクションなのだが、ぼくにとってはフィクションと感じられるほどの未知な世界。しかし、ノンフィクションならではの濃密さと作為のなさが圧倒的に迫ってくる。読み進めながら、謎の多い人々の謎を、著者とともに解き進めていく過程は、エンターテイメント性もたっぷりだ。