秩父皆野 満願の湯


 昨日(11月17日)、家族と秩父皆野の満願の湯に行く。秩父鉄道皆野駅からタクシーで約10分のところにある日帰りの温泉施設である(バスもあり)。施設も温泉もそれなりに清潔感があって、料理もなかなかうまかった。辺りはちょうど紅葉の見ごろであった。
 休憩用の個室が空いていたのでとる。2時間ちょっとで2000円。「4時間まで4600円」とHPにあったが、たぶん予約時間までの空き時間を借りられたのだろう。静かだし、部屋で食事ができるので、おすすめ。

 去年も同じころ、秩父武甲温泉に家族で行ったが、子どもが成長し、移動が随分楽になった。それに、表現力が豊かになったので、楽しいことを一緒に味わえるようになった。
<満願の湯の由来>

 時は天長元年(824年)、東国は大干ばつに見舞われ、五穀はもちろん、人富、草木に至るまで助かるべき法は手を尽くし、人は天に向いて祈らば、その丈6尺余りの法師現れ、杖を持ち岩突きくずせば、たちまち水湧出、その様は滝のごとくと云われた。(公式HP)

 天長元年(824年)は、先日ぼくが訪れた神護寺が「できた」年(厳密には河内の神願寺を、山城の高雄山寺の地に移して合併し神護寺とした年)。つまり、空海が活躍していたころである。ちなみに最澄は822年に没している。そんな時代。
 空海が杖で地を突くと、水(湯)が湧き出たという話は、全国各地にある。満願の湯のこの由来も、空海等のこうしたエピソードと結び付いたものだろう。
 公式HPには、温泉の由来は「不亨応加談」にあるというが、この書(?)については手元で調べる限り、分からない。

<黄金めしの由来>
 秩父で収穫したアワ、ヒエ、キビ、クリ等を現代風に調理した飯。実際のメニューには、飯のほかに、舞茸の天ぷらなど野菜の天ぷら、味噌汁、金平、昆布巻き等がつく。
 黄金めしもうまいが、舞茸(秩父の特産)の天ぷらがとてもうまい。

 慶運5年(708年)、武蔵の国、秩父郡からわが国初の銅が産出され朝廷に献上された。喜んだ朝廷は、年号を和銅改元し、日本初の通貨を発行。
 この銅を運んだ荷役羊太夫は、秩父駒に銅を積み、遠く都までの旅は難儀で、食べ物は、アワ、ヒエ、キビ、クリ等、山のものが多かった。
 やっと御所についた一行がキビめしを食べていたところ、時の帝が通りがかり「その黄金に輝く食べ物は何じゃ」「世にも、一箸与えよ」と従者に申し伝えた。
 帝は食して「これはたいそう旨い、黄金のめしじゃのう」と言われ、喜んだという。
 以来、当地方では、お祭事やお祝いの時などのお膳に使われるようになった。(公式HP)

 この辺りで、銅銭「和銅開珎」の銅が産出したとは知らなかった。「武蔵国」のこの辺りだったのだ。旅をして、知識が今につながったということ。